コロナと刑事事件

2020-09-19

コラム

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金曜日は裁判傍聴と商標登録出願に行ってきた。

連休前に商標登録出願を窓口で行いたく、勤め先に有給をもらい特許庁に行った。家の商売で洋服ブランドに使う商標だ。

本当は外務省の用事もその時済ませられたら良かったのだが、外務省の窓口業務はコロナで停止しているそうだ。郵送でやろう。

せっかく霞ヶ関に行くのだからと、裁判所で傍聴も何件かした。

写真は傍聴の昼休憩の日比谷公園松本楼からの景色 銀杏の大木に圧倒される。


傍聴した事件の中に教訓になる事件が数件あった。


①コロナで職を失った中国人が正規の在留カードがあるにも関わらず、偽装在留カードをインターネットで買い、職質で検挙された事件

4年前から日本にいる中国人が、勤め先のホテルが1月末からコロナで休業しており、職を探していた。在留資格を6月に更新する際に、予備の身分証を持っていたほうがいいとネット広告で見かけたことや、就職面接で永住在留資格を持っていると有利ということを聞いて、2月か3月にインターネットで偽装在留カードを購入したのだ。

彼は6月に在留資格を更新したため、正規の在留カードを持っていたが、面接のときに見せようかと思い在留資格更新後も偽のカードを持ち続けた。一度も偽のカードを使うことは無かったが、新宿駅で職質を受け、所持品検査で摘発された。

一度も使っていない偽装カードを持っていたことですでに3か月近く拘束されていて、なかなか不憫だった。もちろん偽装カードを所持することはいけないが、彼の動機が就職面接を有利にすることだったと考えると、コロナが無ければ彼はこんなことにならなかったのではないかと思い、やはり不憫に思う。


②飲み会で人に手を噛まれ、日赤病院に駆け込んだがコロナの影響で診察拒否を受け、警察官ともめて公務執行妨害で検挙された事件

フランスのファッション専門動画コンテンツ会社の日本代理店(従業員6名 年商2億)が、コロナの影響でコンテンツを失い、自らコンテンツ制作を始めることになり、その初日に慰労会を行った。会場の店主と口論になった関係者をなだめていた社長が、3回も手を噛まれた。社長は騒ぎになるのが嫌で、噛んできた人を無理やりタクシーで帰らせ、店に多めにお金を置いて解散。噛まれた手が心配で、以前夜間に受け入れてくれたことのある日赤病院に急いでタクシーで向かった。

日赤病院の救急受付に行くと、コロナ対策で新規外来は受け入れていないと断られる。社長は酔っていて、日赤側の対応を理解できない。何しろ犬歯で貫通させられた出血していてしびれた手を医者に診てもらいたい一心だった社長は、受付のガラス越しに必死で頼み込む。一時は受付内にだれも居なくなるなどしたため、焦った社長は手帳についていたプラスチックのペンで受付のガラスをたたくなどして必死にアピールをした。

いずれ日赤側は110番通報をし、社長は社長で110番通報をする。社長は理解してくれる人が欲しかったのだ。

110番を受けた警察になだめられる社長は、感情の起伏が激しく、警察の指示に従ったかと思えば、また誰かに絡みだすようなことを繰り返し、最終的には日赤の説明を理解していないものの北里病院にタクシーで行くよう警察に促されて外に出る。

病院から出た時、自分の後ろにいた警察官が自分のことを理解していないと分かる言葉を発せられ激高し、振り向いた。

振り向いて正面にいた太った眼鏡の警察官に注意をひこうと「ふざけんなよのび太君!」と声をかけながら右手を振ると、その手がこめかみに当たり警察官の眼鏡が落ち、社長は公務執行妨害で逮捕された。

社長は25歳から50歳までの25年間で8回も酔って人を傷つけて逮捕歴があり、実刑判決を受けてはいないものの、支払った罰金は200万円弱に及ぶ。

彼については、コロナがあってもなくてもいずれこうなったのかもしれないが、この事件も間違いなくコロナがきっかけの事件といえる。


③美容室経営者が、経理を担当していた美容師組合?の積み立て金約600万円を着服し、自分の美容室の借金返済などにあてて業務上横領で2年の実刑判決を受けていたが、1000万円払う示談が成立したために高裁で執行猶予がついた事件。

万引きを繰り返す汗臭そうな若者が、ヘアスプレー6本を万引きし、1年6か月の懲役と地裁の判決が出ていて、高裁に上告したものの棄却された。

その直後に同じ法廷で行われた判決であるが、こちらは小奇麗なおしゃれなおじさん。経理を担当していた組合の金を600万ちょい横領し、自分のサロンの借金返済などに充てていた。

地裁で起訴されていた時には、140万円を弁済し、残りは分割で返済すると約束したものの、懲役2年の実刑判決を食らっていた。しかし今回彼は、高裁に上告して執行猶予を勝ち取った。

地裁の判決後に、すでに500万円を支払い、今後分割で500万円を支払う旨の示談が成立しているからだった。

彼は自由を金で買ったようなものだ。

同じ罪を犯しても、金を払って実刑を免れるやつもいるのだ。

フェアかどうかは置いておいて、今の日本ではそれが許されており、金は力なのだと改めて痛感させられた。

金が無いから犯罪に走る人が多いことも傍聴で理解したが、金があれば時には示談で減刑を受けることもできるということもまた理解した。

生きることにスリルを感じた一日だった。


勉強しなきゃ

おわり


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