カタカナ英語で学ぶ音楽理論

カタカナ英語で学ぶ音楽理論

0章 はじめに

このページは2つの大きな特徴をもって音楽の仕組みを説明します。

0.1 特徴①カタカナ英語

1つ目の特徴は、音楽用語について日本でしか通じない和名を避けて、積極的に英語圏で用いられている言葉を使うことです。

そのようにする理由は、外国人とも通じ合えるようにする目的に加えて、実は英語で覚えたほうが分かりやすい場合があるからなのです。

例としてト音記号やハ長調などに使われている「ハニホヘトイロハ」という音名(ピッチネーム)について考えてみます。

広く一般に「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と呼ばれているピッチネームは実はイタリア語なのですが、これは英語圏でも通じます。

英語圏では意味の記号として「C・D・E・F・G・A・B」という表記も使います。アルファベットが順番に並んでいるので、世界中の人にとって順番が分かりやすいという利点があります。

ところが2021年現在の日本では、いまだに「ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロ・ハ」という表記が「ト音記号(英語ではGクレフ)」「ハ長調(英語ではCメジャー)」「嬰ニ短調(英語ではD#マイナー)」などという良く使われる音楽用語に生きているのです。

言葉というのは共通言語として使われ始めるとなかなか切り替えが難しいために、いまだにハニホヘトイロハが一部の言葉に残っているのだと思いますが、私は日本でも「ト音記号」という表現を使わずにGクレフと呼ぶべきだと考えています。

ハニホヘトイロハ表記は一例として挙げましたが、音楽について学ぶときに、日本でしか通じない言葉で考えるようになってしまうのは惜しいことだと思います。

このページでは音楽用語を書く際は「カタカナ英語(場合によって日本語併記)」を基本とします。

※なおここでいう「カタカナ英語」とは、日本でしか通用しない「和製英語」のことではなく、英語圏で使われている言葉をそのままカタカナに直したものです。

※単語によっては英語圏でもイタリア語やドイツ語で呼ばれていることもありますので、その場合はイタリア語やドイツ語をカタカナ化します。

0.2 特徴②できる限り音楽「理論」を書くこと

音楽理論を名乗りながら、理論になっていない本やページのいかに多いことでしょうか。

巷にあふれる音楽理論モドキは

「この3つの音を一緒に鳴らすと気持ち悪い感じがするでしょ?それが不協和音だよ。でもこっちの3つの音だときれいに聞こえるでしょ?それが協和音だよ。不協和音の後に協和音を鳴らすと安心感が生まれるから、不協和音は音楽に必要なスパイスなの!」

の様な抽象的な説明になっています。

特に私みたいなナゼナゼ君には「なぜその組み合わせだとそうなるのか」「そもそもドレミって何なんだ!オクターブってなんだよ!」「ピアノの白鍵と黒鍵はなぜあの並び方なんだ!」という様に原理が分からないと理論モドキを受け入れる気にはならないのです。

しかし、音楽の様々なルールが算数で説明がつく科学的なものだと理解したとき、大変面白い世界だと感じのめり込んだと同時に、なぜ音楽教育の初期に科学的な説明を行わないのか疑問に思いました。

このページでは、できる限り本当の意味で理論的に音楽理論(ミュージックセオリー)を説明できるよう、原理の説明に重点を置きます。

よろしくお願いします。

第1章 音楽理論の基礎

1.1 サウンドとピッチ

編集中

音楽の定義は様々ですが、音(サウンド)の芸術といわれることがあります。

では、サウンドとは何でしょうか?

日本語の「音」を指す英単語には「サウンド」「ノート」「ノイズ」があります。

「サウンド」は爆発音や足音・楽器の音など、物理的な音全般を指す言葉です。

「ノート」は追って説明しますが、基本的には(音の高さが決まった)個々の音のことを指しますが、スコア(楽譜)においては音符のことを言います。

「ノイズ」は耳障りな音を指します。

このページではサウンド、ノート、ノイズと分けて使います。


さあ、英語の「サウンド」が日本語で言うところの「物理的な音全般」であるということは分かりましたが、物理的な音とは何なのでしょうか。

基本的過ぎて皆さんご存じかもしれませんが、理論の基礎になる部分ですからおさらいします。

サウンドは物体が力学的に振動する際に、媒質となる他の物体を振動させて起きる媒質の波です。

ここでいう媒質とは、振動体の振動を伝える役割をもつ物質という意味で、気体でも液体でも固体でも何でもいいのです。

例えばギターの弦をピックで弾いて振動させたとき、ギターの弦そのものも媒質になり得ますし、ギター本体も媒質になりますし、ギターの弦や本体の振動を受けて振動する空気も媒質になります。

この時媒質は物質自体の疎密を波として伝えます。空気が媒質となる場合には、空気圧の高低が波として伝播することになります。そしてその波の伝播速度は媒質によって異なります。

ところで、最も単純な波の形はサインウェーブです。

円が等角速度で回転するときに、横軸を時刻、円の外周の一点の高さを音圧の高さとしたと表される波の形です。

こんな形です。これは私の口笛の波形です。

口笛


横軸が時間、縦軸が空気の圧力です。

この振動の時間的間隔(周期)が短いと音の高さ(ピッチ)が高く、周期が長いとピッチが低いということになります。

口笛の波形はサインウェーブで単純な波形ですね。

それではウクレレとハーモニカのサウンドの波形も見てみましょう。


ウクレレ

ハーモニカ

ウクレレやハーモニカのサウンドが口笛と異なり複雑なサウンドであることが分かります。
このような複雑な波形でも、これを様々なサインウェーブの重なったものととらえ、分解することができます。
どのようなサインウェーブが重なったものかをフーリエ変換によって分析してみます。


口笛

ウクレレ

ハーモニカ

比較してみると、口笛には一つの大きなピークがあり、ウクレレとハーモニカには周波数が最も低いピークから整数倍の周波数の位置にも複数のピークがあることが分かります。
口笛に一つしかピークが無いのは、口笛のサウンドの波形がサインウェーブ一つからなっているからです。
ウクレレやハーモニカには、ある一つの周波数のサインウェーブを起点として、その整数倍の周波数のサインウェーブが重なっていることが分かります。
このように、ある周波数のサインウェーブと同時に鳴る整数倍の周波数のサウンドを整数倍音といいます。整数倍でないけど同時に鳴るサウンドを総称して非整数倍音といいます。また、整数倍音と非整数倍音をひっくるめて倍音といいますが、音楽の世界で単に倍音といった場合は整数倍音のことを指すことが多いです。

倍音について理解が必要なことには


Search This Blog

Translate

QooQ